監督の“ひとり言”2017?※長文にてあしからず…m(__)m先日4/30(日)に行われた競馬の最高峰レース「天皇賞(春)」(現役最強馬決定戦)にて、「キタサンブラック」がコースレコードを大幅に塗り替える好タイムで優勝した。キタサンブラックは、オーナーが演歌歌手の北島三郎さんであるが、この馬の父はブラックタイドという馬で、自身の競争成績が振るわなかったせいで産駒の取引価格が低い馬である。サラブレッドは、「徹底的に(THOROUGH)」「品種改良されたもの(BRED)」という語源からもわかるように、強く速い馬が残され、さらに強く速い馬が作り出されている。そして、競馬は「ブラッド(血)スポーツ」と呼ばれ、優秀な血統を持つ仔馬は数億円で取引されることも珍しいことではないし、大きなレースに勝利する馬は優秀な血統を持つ競走馬が圧倒的に多い。そんな中、先の天皇賞にて安価な馬(良血馬ではない)キタサンブラックが、並みいる良血馬を蹴散らして優勝したのだが…レース後に語った、この馬のジョッキーである武豊のインタビュー「この馬の強さの秘訣はハード調教にあります」を聞いて、かつての最強馬ミホノブルボンという馬を思い出した。「野球」と「競馬」全くの畑違いではあるのだが、是非、自分の野球人生の参考にしてもらいたい。(^_^)■ハードな調教キタサンブラックの調教師は、清水久詞という男である。この清水調教師は、 キタサンブラックに「坂路3本」のハードトレーニングを課しているのだが、1日に坂路2本を乗るのでさえ滅多に聞こえなくなった現代において、この回数は驚異的である。が、しかし…故・戸山為夫調教師の最高傑作「第59回日本ダービー馬」ミホノブルボンという馬は、この坂路調教を1日4本やっていたのである。私は、故・戸山為夫調教師をとても尊敬している。なぜなら、当時の競馬界において“類いまれな異端児”だったからである。坂路調教とは、1985年に栗東トレーニングセンターに初めて設置された坂路にて調教することであり、全長1085mの坂道(約3.5%勾配)を一気に駆け上がらせる坂路調教は、競走馬にとって体力的にとても厳しい調教である。戸山調教師は「血統や馬体など、素材的には少し見劣る馬をハードに鍛えて強くする」という理念を掲げており… わずか700万円と低額で取引されたミホノブルボンに、2歳時から「1日4本」の超ハードメニューを課して鍛えに鍛えた。だが、このようなハードトレーニングは競走馬に怪我をさせてしまう恐れがあったため、当時の競馬関係者から相当な非難を浴びていたのだが…戸山調教師は、自分の信念を貫き、このハードトレーニングを止めようとしなかったのである。それに、戸山調教師は何の考えも無しにハードトレーニングを課していたのではない。ミホノブルボンはとてつもない大食漢であり、普通なら6升食べれば「食いがいい」と言われるところを毎日9升のカイバを残さず食べた。一般に、食べ過ぎは血液が濃くなってコズミ(筋炎や筋肉痛)の原因になるというが、戸山調教師はそこを逆手にとってミホノブルボンの運動量をさらに増やし、鍛え抜いたのである。■ダービー制覇1992年「第59回日本ダービー」(25年前…)ミホノブルボンは、このダービーに先駆けて行われた皐月賞(距離2000m)を見事な逃走劇で圧勝したものの…ミホノブルボンが短距離血統であるがゆえにダービー(距離2400m)の距離適性に疑問視され、しかも“逃げ馬”には不利となる15番枠からのゲート発送となったことで、多くの競馬関係者および競馬ファンが不安視する中…いざスタートすると、ミホノブルボンは周囲の心配をあざ笑うかのように先頭に立ち、他馬に影をも踏ませぬ逃走劇で、2着のライスシャワーに4馬身差をつけて圧勝した。ラジオ実況アナウンサーが「これは強い、とてつもない強さ!」と叫んだほどで…デビュー後、無敗のまま悲願のダービーを制覇し、「スパルタの鬼」と呼ばれた戸山調教師の最高傑作となった。■キタサンブラックは後継馬?無敗の3冠をかけた秋の菊花賞で、ライスシャワーに敗れたのを最後にミホノブルボンはターフに戻ることなく、引退した。(生涯成績8戦7勝)戸山調教師もまた、ミホノブルボンを管理していた時から患っていた食道がんのため、翌年の1993年5月29日、第60回日本ダービーの前日に息を引き取った。(当時の私には衝撃的だった)種牡馬となったミホノブルボンは、地方競馬では重賞勝ち馬を出したものの、中央競馬では重賞勝ち馬は出せないまま2012年に種牡馬を引退、今年2月に28歳で老衰のため死亡。 だが、ミホノブルボンの死の約1カ月後、志を継ぐ馬が… 故・戸山調教師と理念を同じくする清水調教師の元で鍛えあげられたキタサンブラックが天皇賞(春)にコースレコードで優勝したのは、単なる偶然なのだろうか?。ミホノブルボンは、自らの血をひく後継馬を残すことはできなかったものの…その「志」を継ぎ、ハードトレーニングに耐え抜いたキタサンブラックが日本競馬界を席巻し…今秋に世界最高峰のレース(フランス凱旋門賞)に挑もうとしている。鞍上(ジョッキー)が「武豊」であることでもあるし、私は心から応援したいと思う。P.S.つまり…「目一杯、食って」「目一杯、練習しろ」ということである。(^_^)vBy 平山
